ハニー・シルバームーン










【 ハニー・シルバームーン 】

織原 夏



















一つ年下の君の事がずっと好きだった










授業中も君に逢いたくて逢いたくて

チャイムが鳴ったら用事も無いのに君の教室の前を通って

君の存在を確かめた










目が合って私の元へからかいに来る君、

到底先輩への扱いとは思えない言葉も 態度も

その全てが愛おしかった










私は案外モテる君に告白出来るような女の子じゃないって思って

可愛くないし、性格もちょっと素直じゃないし、黒髪だし、胸だってそんなに大きく無いし、

どちらかと言えば男勝りな女の友達って思われてるのを知ってたから。












それでも私の学年の誰よりも、

君の事は見ているつもりで、

誰よりも 仲が良かった。












他愛ないジョークやふざけ合いの中に、君への思いを隠していたの、

実は知っていたんじゃないかな。












授業中も家に帰るときも、ずっと君の気配を感じたままで

見えない何かで本当に繋がっているんじゃないかと思うくらいに

君はいつも、近くにいた。




















ずっとこのままでいいと思ってた

仲のいい先輩と後輩のままでいいって思ってた・・・・・・















だけど私の卒業が近付くにつれて思いは膨らんでいって

隠し切れないほどになって、とうとう君に想いがばれてしまった












すれ違いざま、君に腕を掴まれて振り向かされて

俺の事好きなの?って問う君に本当のことを言う勇気も自身もなくて

かわいくない私は「瞳の色綺麗だね」とか言って

闇雲に誤魔化して掴まれた腕を振りほどいて

放課後の校舎に消えた。





















あの時、去り際に見た君の表情は歪んでた。

もし本当の事を言えたら、君は私に微笑んでくれただろうか

振りほどいた腕を、もう一度捕まえに来てくれただろうか












あれから行く年も経って

私は今でもあの時の風景が鮮明に思い出せます












ねぇ、

私の事を、「変な奴がいたなぁ」位には覚えていてくれていますか?

たまに思い出したりしてくれていますか?












報われない想いも、

記憶に付箋をしたように、いつも君の姿が片隅にあります












もし、私の事を覚えていてくれていたら、それだけで嬉しい。













今も、君への想いは冷めないままだけれど、

私の事、少しでも覚えていてくれているなら、

君に、笑い話でもいいから「昔大好きだったよ」って言える気がします。























どうか、覚えていて下さい










私が君の事を片時も忘れなかった、その1/10で良いから、



覚えていてください。






















どうか、君の中に、


あの日の記憶を、


少しでも、 長く、










あの時の君の瞳の色、今でも鮮明に覚えてる

(いっその事忘れたくても、忘れられる訳が無い程に、綺麗な銀色の月みたいな瞳だったね)

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