別れる前に、これだけは伝えたくて
ココ
嫌なことがあると、紙に向かう生活。
ティッシュの空箱、つぶす時に親指が痛い。赤鼻のトナカイは、今日も花粉症。強がって生きていくには、正直になるための嘘を上塗り。
ベルは、鳴らない。詰め物を含んだ、さかさまのゴミ箱と同じ。蹴飛ばす、一瞬後の未来は容易に想像できる。そして現実は、濡れた。蒸した、カビの生える直前の感情を外気に曝して。蓋をした、臭気を遮断する顔の中央に、絡み付く。気付かないふり。反射するものだけでも、もう、真っ暗にして欲しい。
すべてが、終わる。
余韻は、拍手とともにはじき飛び、
アナウンスの後に灯る照明。
感情は、ステージに向かって飛ばしたまま。
還ってこない。
そして、忘れる。
すり切れた。穴と同じ深さに、地表が。
そんな到達点。
いつか、わたしが踏みしめる、ここは。
潜って隠れることすら出来なくなるのだろうか。
「別れる前に、これだけは伝えたくて」 by ココ
背中を向けて、狸寝入りする。わたしの言葉、耳から。心に続く道で迷子になって。泣きながら戻ってくるの。吸い込む息に、たった今言ったわたしの思いが飛び込んできて。むせそうになるのを、唇、ぎゅっと綴じて。飲み込む。ゆっくりと身体を循環する。捨てたかった。そのくらい、許して欲しかったのに。だから。わたしはまだ、横に座ったまま。時間をかけて。音を立てないように背中のジッパーを引き上げる。
ねぇ。知り合ってから今まで。
「ありがとう」
だなんて、期待しないで。
期待、裏切られるのは、お互い様だわ。あなた、白黒つけるの。いやがるくせに、大好きなのは、答えが2つの疑問文。首を上下左右。降ることで、通じ合ったと思っていた。勘違いは、視界がぶれているから起きたことだって、納得してもいいのかな。昔。心、読めるようになりたいって思ったことがあったね。今。言葉。聞こえても、翻訳する機能が壊れてしまっているみたいだね。触れる手の温度。それが心の温度なら。わたしは二度と、冬に恋は始めないことにする。
窓の外からみた。
幸せは。
今も内側から、鍵。
錆び付いて、合鍵すら役割を果たせなくなったら。
素手で壊して入り込んでも。
あなたはわたしを追い出すのだろうか。
多分。
爪に入り込んだ土を見て。
洗い流す方向を指差して。
扉を後ろで閉めるのは、あなたでしかできない残酷さ。
「バイバイ」
ベッドに残った温もりが消える頃、あなたはきっと目を覚ます。そして、寝返りをうてる喜びに浸るのでしょう。