春と、私の恋と、
遠坂ちひろ
膨らんだ蕾に、そっと触れた日、
貴方の側にいたいと思いました。
徐々に大きくなる期待は、
始まったばかりの春に、見破られてしまいました。
咲き誇る花弁を見上げたその日、
貴方の側にいられるようになりました。
一気に弾けたその想いを、
にこやかに微笑む春は、祝福してくれました。
鮮やかに散りゆく音を聴いた日、
貴方の側にいられなくなりました。
立ち竦むことしかできない体を、
踏みにじられた春は、慰めてくれました。
芽吹いた緑に気づいたその日、
貴方を思い出にしようと決めました。
柔らかな日差しをこの身に受けて、
新緑の下を一人で歩く私を、
加速してゆく春は、
風に揺れる葉を声援として、背中を押してくれました。